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2025/11/30

平均年齢15歳の6頭が参加!「シニア犬パーティ」イベントレポート

去る10月中旬、東京都八王子市のトレーニングスクール「Sunny Side Dogs」が主催する「シニア犬パーティー」にお邪魔してきました。

平均年齢15歳(最高齢17歳)のシニア犬6頭が参加し、オーナーも犬たちも終始リラックスしたアットホームな雰囲気の中で、シニア犬暮らしにおける「つながり」の大切さに改めて気づかされました。

目次

愛犬の近況報告&自己紹介からスタート!

▲大型犬も小型犬も、多頭飼いのオーナーさんも参加

イベント開始時間にあわせて、愛犬を抱きかかえながら飼い主さんが続々と到着。

顔見知りの飼い主さん同士も多く、和やかな雰囲気に包まれます。

▲司会の鈴木トレーナー。愛犬飼育管理士、ペット看護師、ペットセラピスト資格を保有

参加者が揃ったところで、司会を務める「Sunny Side Dogs」鈴木圭絵トレーナーの挨拶と共にイベントがスタート。

まずは、飼い主さんそれぞれが、愛犬の年齢や最近の様子、食事の悩みや体調の変化といった近況を報告していきます。

今回は10月の開催だったため、多くのシニア犬に共通していたテーマは「夏バテからの回復」でした。

「夏を越えて食欲が戻り、動きも軽快になった」と語る飼い主さんの言葉に、多くの参加者が自然に頷いたり拍手をしたりと、まるで自分のことのように聞いている姿が印象的でした。

▲順番に近況報告をする参加者(とその愛犬)の様子

食欲、歩き方、睡眠時間など、昨日できたことが今日できなくなったり、逆に思いがけない元気さを見せてくれたり…。シニア犬との暮らしは、日々の小さな変化の連続です。

シニア期ならではの喜怒哀楽を共有し合える時間は、共感や気づきが多く、明日からの愛犬との生活への大きな活力にもなります。

恒例のうまうまおやつタイム

▲「待ってました!」とばかりにおやつに群がるシニア犬たち

自己紹介と情報交換会の後は、犬たちにとってお待ちかねの「うまうまおやつタイム」へ。

飼い主さんたちがそれぞれ持ち寄ったおやつを交換します。

▲飼い主はもちろん、犬たちも交流によって良い刺激を受けている

おやつを用意する音に反応して、それまで静かにしていた子もソワソワし始め、飼い主さんの手元をじっと見つめる姿は、何歳になってもまるで仔犬のよう

どの子も目を輝かせながらおやつを頬張り、その姿や犬たちの交流を嬉しそうに見つめる飼い主さんたち。
もちろん、おやつタイムは飼い主さん同士がリラックスして会話を楽しむ大切な時間でもあります。

たくさんの笑顔が溢れるこの時間と雰囲気は「シニア犬パーティー」ならではの一コマだと言えるでしょう。

専門家によるプチ講座も開催

▲『we DOG』でもお世話になっている、平端弘美先生による実演講座

おやつタイムで心もお腹も満たされた後は、「日常における介護」をテーマにしたプチ講座が開催されました。

今回はペットケアマネージャー・ドッグアナトミー整体師である平端弘美先生を講師に迎え、体位交換の仕方やコスパの良いオムツ作りなど、すぐに家庭で実践できるポイントを紹介。

シニア期を迎えると、これまでとは違ったケアや配慮が必要になります。
飼い主さんたちは皆、真剣な表情で先生の話に耳を傾け、日々のケアに役立つ情報を熱心にメモしていました。

「こういう時はどうしたら?」といった具体的な質問も飛び交い、専門家の視点から学べる貴重な時間となりました。


平端 弘美

ペットケアマネージャー・ドッグアナトミー整体師

主に高齢犬の介護サポートやリハビリ、マッサージ、介護予防を伝えるセミナーなどを開催。
動物病院やイベント会場でのカウンセリングや高齢犬と暮らすご家庭への訪問なども行っている。

■Japanペットケアマネージャー協会認定ペットケアマネージャー
■ドッグメディカルトレーナー
■ドッグアナトミー整体師。

①寝たきりになった際の体位交換の仕方

▲シニア犬は負担が大きいため、ぬいぐるみを使用して実演

ハイシニア期になって寝たきりの時間が長くなると、血流の悪化や床ずれ(褥瘡)を防ぐために「体位交換」が必要になります。

しかし、やり方を間違えると愛犬の体に大きな負担をかけてしまうことも。
絶対にやってはいけないのが、愛犬の手足を持って「せーの…」でひっくり返す体位交換です。

シニア犬は内臓を支える筋肉も衰えているため、この方法だと内臓が大きく動いてしまい、大きな負担となる可能性があります。

▲かわいい帽子を乗せたラブラドール・レトリーバーのオグちゃん(16歳)も挑戦

正しい体位交換のポイントは、犬の手足を優しくたたみ、体を支えながらゆっくりと向きを変えること。

介助をするときは、「これから向きを変えるよ」「体を起こすよ」「足をたたむよ」など、必ず声をかけてあげることが大切だと平端先生は話します。

こうした優しい声かけは、愛犬に安心感を与え介助をスムーズにする大切なコミュニケーションになるのだそう。

②コスパの良いオムツ作り

▲犬用よりも人間用のほうがオムツはコスパが良い、といった気づきも

続いては、人間用の赤ちゃん用おむつを犬用にアレンジする方法です。
犬用おむつは意外と高価ですが、人間用を代用すればコストを3分の1から4分の1に抑えられるとのこと。

▲尻尾用の穴は三角形にするとテープを貼る箇所が少なく済む

作り方は簡単で、人間用おむつの前側に尻尾を出すための三角形の切り込みを入れ、吸収体(ポリマー)がこぼれないように切り口をサージカルテープで留めるだけ。

▲看板犬のコテツ君(ボーダーコリー/15歳)がモデルとしてお手伝い

品質面でも人間用の方が優れていることが多く、経済的かつ機能的なこのアイデアに、参加者からは感心の声が上がりました。

③身近な材料でできる手作りパッドで「床ずれ」を予防

▲シニア犬に多い課題に向き合った知見とコンテンツが提供される

寝たきりの時間が長くなると心配なのが「床ずれ(褥瘡)」です。

講座では、トイレシートと穴あきのポリ袋を使った「褥瘡パッド」の作り方も紹介されました。

傷口より一回り大きく切ったトイレシートに、同じ大きさの穴あきポリ袋を重ね、サージカルテープで周りを留めるだけで完成。

このパッドを傷口に当てることで体液を下のシートが吸収し、傷口を清潔に保つことができます。いざという時のために、時間のある時に作り置きしておくと安心です。

④「部分洗い」で愛犬の負担を減らして体を清潔に保つ

▲自着包帯(黄色)でお尻まわりの汚れを防ぐ、ちょっとしたアイデアも

シニア犬にとって、全身のシャンプーは大きな負担になります。そこで先生が推奨するのが、お尻まわりや足先、顔周りといった「汚れが気になる部分」だけを洗う方法です。

また、冬場の入浴では、湯気による心臓への負担を避けるため、換気扇を回して短時間で済ませることが重要なのだそう。

尻尾の長い子が体を洗う際に、尻尾が濡れないように自着包帯で優しく巻いておく工夫や、目の周りなどの細かい部分を洗う際に、柔らかい化粧用パフを使うといった、すぐに役立つテクニックも紹介されました。

⑤水の飲ませ方と口腔ケア

▲「寝たままでも良いですか?」など、講義中はカジュアルな質問が飛ぶ

自力で水が飲めない子にスポイト等で水を与える際は、喉の奥に直接流し込むと誤嚥の危険があります。下の歯茎に沿わせるように、少しずつゆっくりと与えるのが正しい方法です。

また、歯磨きが苦手な子には、飲み水に溶かすタイプのマウスクリーナーが有効であることも紹介されました。液体が口内全体に行き渡るため、歯周病の予防にもなります。

シニア期特有の「喜怒哀楽+幸」を共有できる場所

▲終了後は参加者のみなさんで記念撮影(一部編集部員の姿も…)

約2時間のシニア犬パーティは、終始アットホームな雰囲気の中で幕を閉じました。

愛犬の老いと向き合う中で生まれる悩みや不安を、共有し合える仲間がいること。そして、日々の介護に役立つ実践的な知識を得られること。
このイベントは、シニア犬と暮らす飼い主にとって、かけがえのない心の支えとなっているのだと感じました。

「高齢犬になると行ける場所も限られるし体調も心配です。でも、ここは気を使わなくてよくって、犬も人間もみんなが楽しめるから通っているんです」

そんな参加者の言葉に全員がうなづきます。
そして、司会の鈴木トレーナーもこう語ってくれました。

嬉しいことも不安なことも共有できると、やっぱり安心します。それが犬たちにも伝播して、みんなにとってポジティブな時間になるのだと思います。うちは月一回の開催ですけど、この幸せな集まりは今後も続けていきたいです」(鈴木トレーナー)

みなさんも、機会があれば同じシニア犬同士が集う場に行ってみることをお薦めします。
もちろん、愛犬の体調最優先で!

-DATA-

『Sunny Side Dogs』

世界基準の国際トレーナー資格である「CPDT-KA」を持つ伊藤 哲朗トレーナーが主宰するトレーニーングスクール。
11月、西八王子に姉妹店となる「Sunny Tails-犬のようち園-」もOPEN!

●所在地 :〒192-0911
       東京都八王子市打越町1193 スターハイツ北野101
●公式  :https://sunny-side-dogs.net/
●営業時間:10:00〜18:00
●定休  :毎週第1日曜日

 

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